起立性調節障害のお話です。
未成年者の不定愁訴をみた場合、起立性調節障害の有無の検討をする必要があります。
思春期を中心に体が急激に成長しますが、その頃の子供の体は血圧の調節がうまくいかなくなる場合があり、特に起立時の低血圧をきたすようになります。朝礼時に急に倒れる子供などは、この起立性調節障害のひどいもの(神経調節性失神)と思われます。
失神以外の症状は
1.朝が苦手、いつまでも起きられない
2.全身倦怠感(体が重い)
3.頭痛
4.立ち眩み
などが有名ですが、これ以外に、
疲れやすい、気分不良、動悸、寝つきが悪い、ボーっとする、成績の低下、イライラ、腹痛など多岐にわたります。
また、症状の程度が日ごとに違い、また、天候や季節によっても違うことから、どうしても「なまけ、たるみ」というふうに周囲に写ってしまいます。
特に、朝起きられないことや全身倦怠感については、子供がうまく表現できないこともあり、親や教師は「がんばれ、しっかりしろ、怠けるな」と指導しているのが普通です。
もちろん悪気は無いのですが、子供はこの指導によって追い込まれ、自信喪失し、「自分はダメな怠け者だ」と考えるようになってしまったり、逆に周囲に反発して反抗的な態度をとるようになってしまったりすることがあります。
この病気の悲しいところは、明らかに「体の病気」であるのにもかかわらず、周囲の良かれと思った働きかけによって、心理的な症状を二次的に引き起こしてしまうというところにあります。
誰も悪くないのです。しかし、子供は自信を喪失し、勉強についていけず、やがて不登校から引きこもりに発展してしまうという厳しい現実があります。
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